相談ケース例
今までに受けたご相談のケース5
「血友病や保因者ではない子どもを産んでほしい」と言われたが…
相談者:父親が血友病である確定保因者(相談時20歳代)
ご相談いただいた内容
ある日突然父親から、血友病、遺伝について説明を受けました。そこで、結婚を考えている相手に血友病、遺伝の説明をきちんとして、相手の両親の理解を得た上で結婚を認めてもらいたいと考えました。相手の両親に血友病、遺伝の話をしたところ「血友病や保因者ではない子どもを産んでほしい」と言われました。産み分け方法はあるでしょうか。
相談受け手側による整理
- 相談者自身もきちんと血友病の説明を受けていない
- その後、上記について相談することができなかった
- 相手への説明と理解をどのように得るか
- 相手の両親への説明と理解をどのように得るか
- 産み分けを迫る相手の両親への対応
- 産み分け法と倫理的な問題
実際のアクション
相談者自身もきちんと説明を受けていないこと、その後も相談することができずにいたことから、まずは相談者へのきちんとした対応をすることにしました。そして、それを踏まえた上で、相手への説明と理解を得ることを最優先ました。
実際には、血友病の基礎知識(遺伝を含む)を相手が理解したところで、相手の両親に話をしたわけですが、相手の両親からは「産み分けることができれば結婚を認める」という返答が来ました。そこで、血友病を多く診ていて、遺伝カウンセリング科がある医療機関を紹介し、受診していただきました。
現実的には、日本では産み分けをすることはできませんから、そのことを専門家から伝えることにしました。
その後
遺伝カウンセリング科がある医療機関を受診されたようですが、残念ながらその後、連絡を取ることがないままです。カウンセリングを受けた後、医療機関でフォローされ何らかの解決につながっていればいいのですが、現状、日本では「産み分け」は難しいことから相談者とその相手がその事実に向き合うか当人同士で決断することになります。
当人同士とはいえ、このケースは相手の両親も絡んでいることから専門家の支援も非常に難しいケースです。しかし、遺伝病である血友病は当人同士だけの問題ではすまないと考える家族の存在があること、そしてその対応は大きな課題であると思います。